「あれ?」
「ん?」
「・・・ふむ」
「なんだ?」
「ルルーシュ。君、ついに女装に目覚めたの?」
「・・・スザク。お前、ついに頭がいかれたの?」
「失礼な。ここ・・・」
どうしたの?とスザクが首を傾げて唇をさす。
「?」
「グロス、ついてる」
そういってルルーシュの唇をスザクが軽くなぞった。
「っん・・・あいつ」
あれほど言ったのにまだ懲りてないのか。
いい加減、人の寝顔で遊ぶのはやめろと言ってるのに・・・
スザクの指にぴくんと反応して、しかしそれが恥ずかしかったのか
少し顔を赤くしながら誤魔化すように呟くルルーシュ。
眉間に皺を寄せながら思考に耽るルルーシュは、しかし迂闊だった。
スザクの雰囲気が変わったのにまったく気付かない。
「ルル。あいつって、誰?」
「ん?あぁ、えっと・・・スザク?」
どうしたことだろう。
いつもは眩いばかりのスザクの笑顔が・・・
笑っているのに笑っていない。
さっきまでは至って普通だったのに・・・
なんだ。何か怒らすようなことしたか?
ルルーシュは幼馴染の突然の変化に戸惑いながらも
先程までの会話を反芻してみる。
しかし、自他共に、いや本人には自覚は無いのかもしれないが(ないだろbyリヴァル)、ルルーシュを知るものなら口を揃えて言うほど鈍感なルルーシュにはスザクの豹変の理由が分からない。
そして、
「すざく?」
何故かスザクとの距離が、近い。
「誰?」
「ど、うしたんだお前・・・」
「ん?何が?」
「何がって・・・」
問い返されてルルーシュは困ってしまう。
明らかにスザクの様子はおかしいのに、何が違うのかが分からない。そんなルルーシュにスザクは、
「恋人?」
「え?」
「これ」
再び唇をなぞるようにして問う。
「そんなんじゃないさ・・・」
スザクの指から逃れるように顔を背けて否定する。
この時点で既に、ルルーシュの思考はスザクの突然の変化とスザクの指先に集中してしまってC.Cの言い訳まで頭が回らない。
ルルーシュは軽いパニックを起こしていた。しかし何故自分がパニックを起こしているのかも分らないのでそれが余計に混乱を招く。
ルルーシュは困ってスザクを見た。
「どうしたの?」
いつもの笑顔だった。
「スザク・・・」
「ん?」
「なんでもない・・・」
「そう?」
「あぁ・・・」
「ん」
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
「今日、軍なのか?」
「うん。簡単な検査があるんだ・・」
「検査?」
「定期検査みたいなもんだよ」
「そうか・・・」
「でも多分すぐ終わると思うんだ。だから、終わった後ルルーシュの家に行っていい?遅くなるけど・・・」
「あぁ・・・ナナリーと一緒に待ってる・・・」
「うん、待ってて。急いで終わらすから」
「ん。無理するなよ・・・」
「大丈夫だよ。ありがとう」
笑顔のスザクに笑顔で返した。
いつも通りの帰り道だった。
+++
とりあえずルルーシュサイド。
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